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ルポライター、ドリアン・ハンターは妻リリアンをともない、ユーゴスラビア国境の寒村アスモダに向かう。途上、合流するさまざまな国籍の男たち8人。ドリアンをふくむ9人はただ、アスモダにおもむかなければならない、という衝動にかられて、この見知らぬ地へ来た。9人はみな同じ日に生をうけた29歳。
アスモダに到着した一行は城に招かれる。女城主アナスタシア・フォン・レティアンは語る――9人は人ではない。悪魔アナスタシアと闇の侯爵のあいだにもうけられ、死すべき女たちの腹を借りて産み落とされたもの。闇に生をうけたすべてのものが手をむすんだ〈黒の家系〉につらなるもの。
男たちの魔性が発現する。吸血鬼、人狼、食人鬼……。
ドリアンだけが、人のままだった。
ドリアンはアナスタシアを殺し、8人の兄弟の手を逃れ、妻をつれて炎上する城を脱出する。だが、そのとき、リリアンはすでに正気を失っていた。
ウィーンで妻を入院させたドリアンは、魔女ココ・ザミスに出会う。
ココの使命は、魔力でドリアンを虜にし、兄弟のひとりにひきわたすこと。しかし、かねてから抱いていた人間への共感と〈黒の家系〉への反発から、ココはドリアンに傾倒する。デーモンキラー――〈悪魔殺し〉ドリアンを愛し、〈黒の家系〉とのかかわりを断つことを決意。ドリアンとココはリリアンをともないロンドンに逃れる。
ドリアンはシークレット・サービスの協力をえて、ロンドンに〈魔女狩り部隊〉を組織する。部隊の本拠はバーリング街のアール・ヌーヴォ邸宅。
〈魔女狩り部隊〉を指揮して、ドリアンは兄弟のうち5人を殺す。
次の兄弟をおいつめた香港で、ドリアンは食人鬼である兄弟の手に落ちるが、〈黒の家系〉でも最強のデーモンのひとりオリヴァロに救われる。食人鬼を倒したドリアンに、オリヴァロは言う――おまえには借りがある。だが、ドリアンは人間の姿をかりたオリヴァロと2日前に知り合ったばかり。
本拠のロンドンでドリアンが入手した古い手記。それは1484年に書かれたコンド男爵ニコラスの日記。
来訪したオリヴァロが忠告する――過去の詮索はやめておけ、と。しかし、好奇心をかきたてられたドリアンは、ふたたび日記にむかう。男爵はサバトで闇の侯爵アスモダイを欺き、不死を手に入れた。怒ったアスモダイは、人狼をつかい男爵の妻とふたりの子供を八つ裂きにする。男爵は、すべてのデーモンへの復讐を誓う。
男爵はコブレンツへおもむき、ふたりの異端審問官、ヤコブ・シュプレンガーとハインリッヒ・インスティトリスとともに、異端審問の規範『魔女への鉄槌』を編纂し、デーモンと戦う。しかし、3年後、かつてサバトに参加したことを密告され、投獄される……。
日記はそこで終わる。調査をつづけるドリアンが手にした、ハインリッヒ・コルネリウス・ムット・フォン・ギルディングの銅版画。日記によれば、アスモダイにいたる手がかりとして、男爵が接触をもちながら秘密を守りとおしたただひとりのデーモン。拷問にかけられても、男爵はムットについては沈黙をまもった。ドリアンは、このデーモン、ムットがオリヴァロであることに気づく。
召喚されたオリヴァロは語る――答えはドリアン自身がよく知っている。男爵こそ、ドリアンの最初の人生。
ドリアンは記憶をとりもどす。
投獄された男爵は、『魔女への鉄槌』が誤解にもとづいて罪のない人々に適用されていることに気づく。男爵は拷問のすえ、焚刑に処せられた。
男爵は自分の死をみとり、魂は胎児に転生する。次の人生ではあやまちを繰りかえしたくない。しかし、出生と同時に思考は困難になり、やがてなにひとつ思い出せなくなった――これが、アスモダイが与えた不死。
オリヴァロは言う――ドリアンはいくつもの人生でデーモンと戦ってきた。だが、これまでは、いつも記憶が蘇ると、ドリアンの前世たちの意志はくじけてしまったのだ。
ドリアンは今度こそ戦いつづけることを誓う。
ウィーンを再訪したドリアンは、断片的にもうひとつの人生の記憶をとりもどす。
1713年、ペストが猛威をふるうウィーンで、著名な金細工師の放蕩息子フェルディナント・ドゥンケルは目撃した――若いデーモンが〈黒の家系〉の支配者アスモダイをひとりの少女のからだに封じ、ペストの犠牲者たちとともに生き埋めにする。若いデーモンは〈黒の家系〉を継承し、やはりアスモダイを名のった。
地下鉄工事で、少女とアスモダイ1世の魂がめざめる。ドリアンはオリヴァロの助けをかりて、力をとりもどす前のアスモダイ1世を滅ぼす。さらに、ドリアンはオリヴァロに助けられ、残った兄弟たちを殺し、アスモダイ2世を滅ぼすことに成功する。
オリヴァロはマグス4世として〈黒の家系〉を継承し、ドリアンに通告する――借りはかえした。〈黒の家系〉から手をひかなければ、この手で殺す、と。
ドリアンは退かなかった。
事態は変転する。
〈魔女狩り部隊〉の解散。リリアンの奇跡的な回復と死。ドリアンのまわりにはわずかな協力者たち、ココ・ザミス、トレヴォー・スリヴァン、ドナルド・チャップマン、ジェフ・パーカー、フィリップ、マーサ・ピックフォード――いわゆる〈デーモンキラー・チーム〉がのこる。ココ・ザミスはドリアンとのあいだに息子マーティンをもうける。ココは息子をドリアンにも秘密の隠れ家におき、テレパシーで連絡をとりながら育てた。
一方、〈黒の家系〉では、たびかさなる敗北からオリヴァロが家長を辞任。無数の集団に分裂した〈黒の家系〉を魔女ヘカテが統一する。ヘカテはかつて16世紀にアルラウネの精としてゲオルグ・ルドルフ・スパイアーだったドリアンと出会い、愛しあい、いまは憎んでいた。
ドリアンは〈黒の家系〉に対する戦いの決定的な武器、〈賢者の石〉をもとめて、錬金術の祖ヘルメス・トリスメギストスの探索にのりだす。オリヴァロもまた、〈黒の家系〉のうちに権力を維持し拡大するため、〈賢者の石〉を欲していた。発見されたヘルメス・トリスメギストスのミイラは破壊されてしまう。
アイスランドの〈象牙宮〉を拠点とするマグナス・グナーソンがデーモンとの戦いに参戦する。マグナスはヘルメス・トリスメギストスの転生? ドリアンは推測するが、同時に反感もいだく。デーモンとの仮借ない戦いぶり、無関係な人間を利用するやりくちが、ドリアンには気に入らない。
深層睡眠からめざめた石器時代人ウンガが〈賢者の石〉の探索に加わる。ブルターニュ地方で、ドリアン、ココ、ウンガの3人は、太古に海の底に沈んだ都市イースの手がかりをもとめ、都市の廃墟で〈イースの鏡〉を入手する。
〈デーモンキラー・チーム〉とマグナスに多くの敗北を喫したヘカテは、黒魔法最大の魔術師ルグリを、数千年の眠りから呼び覚ますことを余儀なくされる。ルグリはヘカテを罰し、魔力を奪われたヘカテはただのアルラウネにまで退行する。ルグリは〈黒の家系〉の支配者になった。
ドリアン、ウンガ、マグナスの3人はアイスランドのトリスダルール渓谷でヘルメス神殿を発見する。3人は候補者。だが、力を獲得できるのはただひとり。ウンガはドリアンの側についた。マグナスとドリアンの死闘。ドリアンは勝利する。
いまやドリアンはヘルメス・トリスメギストス。しかし、神殿がもたらす力の代償として、ドリアンは自由を失った。神殿を離れることはかなわない。
ドリアンの替え玉が殺害され、全世界はデーモンキラーの死を信じた。連絡をとろうとしても、呼び声は過去へとそらされてしまう。過去の、ニューヨークにいるティム・モートンと、バサジャウン城にいるココと、アール・ヌーヴォ邸宅にいる自分自身と、孤高のヘルメス・トリスメギストスとして言葉をかわすことができただけ。
ドリアンは、〈象牙宮〉を継承したウンガを指揮し、ルグリのデーモンたちと戦いつづける。
やがて、神殿から解き放たれたドリアンは、オリヴァロがこれまで知られることのなかった勢力の一員であることを知る。
ヤヌスヘッドは〈門〉のむこうの並行世界の産、太古からこの世界に干渉してきた種族。いま、オリヴァロは窮地にたたされていた――立場を利用して自分の利益を求めてきたことで、制裁をうけるのは確実だった。
ドリアンは〈イースの鏡〉の力で〈門〉を閉鎖。ヤヌスヘッド一族の情報を求め、オリヴァロと会談をもつ。だが、新しい〈門〉からあらわれたヤヌスヘッドたちは、ドリアン、ココ、オリヴァロを異界へと誘拐する。地球の各地でおこる騒乱。3人は〈イースの鏡〉をなくしながらも異界を脱出し〈門〉を閉鎖する。しかし、地球にはまだ10人のヤヌスヘッドがいるという。
ルグリが派遣したスーパーデーモンチャイルド、バフォメトがマーティンを誘拐。大西洋を越え、ニューヨークにいたる追跡。〈デーモンキラー・チーム〉はニューヨークに反魔力状態を発生させ、バフォメトを追いつめる。ココは、マーティンの生命を救うためにルグリの軍門に下る。ドリアンがバフォメトを滅ぼし、マーティンを救出したとき、ココは反魔力状態の強力な磁場にとらわれ、姿を消した。
ココが目覚めたのは、1629年、三十年戦争時代のドイツ。彼女は現在にもどる手段を探し求める。
1631年、ココは、ムンメルゼー男爵とその妻ギネヴィヴとともに、当時の闇の王アスモダイの大攻勢を阻止。アスモダイの矛先は男爵の領地にむけられた。ココは逡巡する。ドリアン・ハンター第六の転生――ムンメルゼー男爵マティアス・トローガーの戦いをささえるか、彼女自身の時間へ還るべきか。
一方、現在時のドリアンは石器人ウンガとともにムンメルゼーの地にココの消息を求め、時をさかのぼろうとする。だが、そのあいだにも、ルグリの大宰相ザクムが率いる部隊が〈デーモンキラー・チーム〉の拠点バサジャウン城を脅かしつつある……。
ふたつの時代で、決戦の火蓋は切られようとしていた。
アスモダの事件を経験するまでは、オカルティズムや魔女裁判などをあつかうルポライター。肉体的には特に秀でたところもない平均的な男性。
顔にはデーモン、スラシャムとの闘いでうけた傷痕。いつもは目立たないが、極度のストレスにさらされると強く浮き出し、「悪魔も逃げ出すほどの」恐ろしい形相になる。
| 1 | ニコラス | ?-1487 |
コンド男爵、1484年12月のサバトで、アスモダイ1世から不死をだましとる 死因:異端審問の被告となり焚刑 |
|---|---|---|---|
| 2 | ジャン・ガルシア・ド・タベラ | 1487-1508 | 死因:吸血鬼として杭打ちの刑 |
| 3 | ゲオルグ・ルドルフ・スパイアー | 1508-1540 | 死因:アルラウネによる自殺 |
| 4 | ミシェル・ダ・モスト | 1540-1586 | 死因:切腹 |
| 5 | トモタダ | 1586-1610 | 死因:ろくろ首に生きたまま食われる |
| 6 | マティアス・トローガー | 1610-? | ムンメルゼー男爵としてアスモダイと戦う |
| 以降、フェルディナント・ドゥンケルをふくむ各人生の詳細は不明 | |||
魔女。アスモダイ1世が滅びたとき、その余波でザミス一族はココを残して消滅した。
元シークレット・サービスの重役。
元シークレット・サービスのエージェント。デーモンによって足ほどの大きさの小人にされた。
かつてはプレイボーイ。デーモンの存在を知り、闘いに身を投じた。
ヘルマフィロデーテ――半陰陽、人でもデーモンでもない、夢と現実の境界に生きるさだかでないもの。フィリップはデーモンを滅する潜在的な力をもつとされるが、力を示したことは、まだない。
頑固な老婦人。呪的技術のスペシャリスト。
深層睡眠から目覚めたクロマニヨン人。驚異的な早さで20世紀の世界に適応した。過去にヘルメス・トリスメギストスと関わりがあったとされる。
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