
すべては、戦乱の時代、局所銀河群に襲来したカンターロの手で構築された....
そう信じていたペリー・ローダンらの前に、突如としてつきつけられた
「回廊の主人たち」そして「モノス」の名。
はたして、真の敵はいずこにあるのか。
銀河系解放をめざす者たちの手にある唯一の道標は、
遥か太古に暗黒星回廊を建造し姿を消した「始祖」たちのめざした地の名----
すなわち、アマゴルタ!

そのころ、《オーディン》のサトー・アンブッシュは、謎の敵モノスがローダンの所在を知る元凶を発見していた。ローダンが捨てるに捨てられずにいたモノスの細胞片! さらにアノレーの協力で、デス・インパルスを仲介する〈制御通信網〉の存在も明らかとなっていた。
やがて《オーディン》の急行したフェニックスは、一足早く訪れたイホ・トロトの通報を受け、星系自体が巨大な要塞へと変貌していた。そして襲来したカンターロ艦隊を、ロナルド・テケナー指揮下の猛攻が完布なきまでに撲滅する。そればかりか、10名余のドロイドを捕虜にさえしたのだ。ところが、あの忌まわしき「幽霊」がまたも現われた! 空中をぎこちなくただようエネルギー体は、人々の注意がカンターロ部隊に集中した隙をついてジェニファー・サイロンの活性装置を強奪、逃走した....。
銀河系の支配者がより強力な軍団を派遣することを見越し、自由商人はヴィダーの新本星ヘレイオスへと撤収を開始した。と、そこに1隻の船が出現。2年余の間X−ドア星域の監視を果たしてきた《リブラ》。それも《バジス》盗難の報を携えて!
培養惑星サンプソン潜入作戦に参加し、重傷を負ったハロルド・ナイマン。ハミラー・チューブにより「《バジス》艦長」に任命された男の血液から、カンターロは1体のクローンを創り出したのだ。このクローンが巨船の指揮権を掌握、銀河系へと向かったという。だがローダンはあわてなかった。ハミラーがこうも単純に騙されるとは思えない。逆に、いまだパルス整流器を持たぬ《バジス》に銀河障壁を越えさせる絶好の機会ではないか----そして、その推測を裏付けるように、巨船はヘレイオスにほど近い無人星系に出現した!
グリゴロフ・プロジェクターを操作して銀河解放の象徴を異宇宙へ放逐せんとするクローン・ナイマン最後の試みもテケナーの好機をとらえた介入によって退けられ、《バジス》は無傷のまま、ギャラクティカーの手にもどった。

そして、奇妙な力場に包まれたコロニーで、姿を見せぬテフローダーの情報商人と遭遇する。かれの要求する法外な報酬を、太古文明の遺した力場の秘密を解明する過程で入手したトロトは、ついにハルト人の新たな故郷の座標を得た! 謎のテフローダー商人も、姿を消す直前、その正体を明かした。
「同胞の故郷を見出し、独裁者たちとの戦いを勝ち抜きたまえ。----銀河系へもどったら、エイハブ船長健在、と伝えてくれ」ストーカーが生きていた! そして、その情報にしたがい飛行したハルポラ系第3惑星ハルパトで、イホ・トロトは同胞との再会を果たした。ハルパトでは、本来個人主義者であるはずのハルト人が、共同で一大プロジェクトを進行中。その真意を知るべく、トロトはおのれの種族の700年の記録をたどった。
....「ブリッツァー」の特異な言語を解読し、その次なる目標がハルトであると判明したのは、新銀河暦485年のことだった。ハルト星区は禁断星域と宣告され、ハルト人は有する超技術のすべてを投じて防衛施設の建設を急いだ。そして8月、5隻のブリッツァー船が探知された。わずか5隻! そしてハルトは侵略者の猛威を防ぐのにその力のすべてを必要としたのだ。この成功は2度とない。敵の技術はハルト人を遥かに凌駕している! そうして、彷徨の日日がはじまった。隠密裏にハルトを離れ、新たな故郷を探して----だが、銀河系には安息の地などなかった。銀河障壁建造が開始されるにいたって、ハルト人はついに他銀河への移住を決断する。
異銀河での生活にも平和はなかった。郷愁が、トラウマとなってかれらを苦しめるのだ。だが今となっては銀河障壁突破の術もない----そんな時、銀河系脱出の直前に計測されていた超高周波帯のシグナル、すなわちカンターロの制御通信網の秘密の一部が解明される。ポスビのプラズマ固有放射と同周波....。アンドロメダへ隠生したという中央大プラズマの協力さえあれば、カンターロの支配者に痛撃を加えられる! ハルト人は第2銀河に散り、プラズマ探索にかかった。容易ではない。中央大プラズマ自身、他者との接触を避け移転を繰り返していたのだ。だが、ハルト人はやりとげた....。
そう、ハルポラ系第2惑星ドンガンこそ、いまや協力者となった中央大プラズマの座! 驚嘆するトロトの耳を警報が打った。まさにそのドンガンで、一大事件が発生したのだ。
中央大プラズマが死に瀕している! ポスビからの通報はハルト人を寒からしめた。数百年の努力がすべて水泡に帰すというのか? プラズマへの栄養供給ラインに何者かが細工したにちがいないのだ。そして、1体のウィリーが偶然から発見した未知者とは、一群のナック! ところが....。
ハルト部隊が、ナックの小型艇を第1惑星に追い詰めた時、ドンガンから急報が入った。プラズマの「健康状態」は一挙に好転、さらにその固有放射も著しく強化された、と。そして、ナックの代表ヴァロンツェムは微塵も動じず宣言した。
「われわれの目的は、諸君のそれと親和するのだ....」

フェニックス会戦で捕虜となったドロイドの1体が、あらゆるハイパー波から隔絶された状態で突然爆発したことに由来するこの理論は、死亡したドロイドのロディガーが長期に渡り銀河系「外」の作戦に従事していたことが判明するにおよんで、急速に信憑性を増した。そして、ショウダルと、捕虜からの志願者フォラムの臨床例から、自爆機構がドロイドの心臓に付帯するモジュールであることはわかった。だが、依然、その詳細は謎のまま....。
回廊の主人への復讐を誓ったショウダルは、「アマゴルタ」の名称を教育期間中に耳にしたと断言。みずからカンターロの拠点惑星アンゲルマドンへ潜入し、アマゴルタに関するデータを入手する決意を表明した。
修復なったヴァリオ−500とロワ・ダントン、グッキーも同行、「カンターロの将軍と側近、捕虜」の偽装のもと敢行されたアンゲルマドン作戦だったが....。かれらがそこで目撃したものは、厳格にランク付けされたギャラクティカーたちとドロイドの共存する奇妙な都市と、トラウマに苦悩するカンターロの姿であった。自らの素性を知らぬという苦悩....。
かつてサンプソンでショウダル自身の教育に当たっていたナック、アイシュフォンとの再会は、計画を危機に陥れるが、理由は不明ながらも協力を約した異宇宙生命体の助けで、アマゴルタ・データを入手した一行は培養惑星を脱出した。
アマゴルタ----それは、銀河系中枢部のブラックホール! 監視に当たるカンターロにとってさえ、禁断の地。包囲の目をくぐり抜け、事象の地平を越えたローダンたちを待っていたものは、特異点をめぐるふたつの惑星。「マハラI」は、明らかにブリッツァーの犠牲となった死の世界。そして、「マハラII」に唯一残された技術施設たるピラミッドで、一行はマハラバン----始祖たちの歴史を知る。
回廊の主人、始祖。アノレーにそう呼ばれた種族は、太古種族ヴ・アウペルティアから派生したヒューマノイド。〈アマレナ〉----そう自称していた。巨大な飛行都市で宇宙を放浪する道々、アマレナはブラックホールを操る術を学んだ。そして、その力を大宇宙の秩序と調和を守るため投入する決断を下した。争いあるところに現われ、暗黒星回廊のライセンスを与え、闘争以外のものへの「憧れ」を思い出させ----成功したかに見えたアマレナの活動も、しかし、うたかたの夢に終わった。絶望したアマレナは、いつしか「アマゴルタ」を探し求めた。かれらが進化のさらなる階梯にいたるため、何者にも邪魔されずに内なるものに直面しうる場所----それこそが、このブラックホールであった。
後継者として選ばれた種族アノレーに暗黒星回廊のすべての星図とライセンス----むろん、アマゴルタの属す銀河群のデータは注意深く抹消された----を譲渡し、アマレナがアマゴルタにこもってから、何十万、何百万年が過ぎ去ったであろうか。
アマゴルタの事象の地平下の2世界でも探知された独特の構造振動は、あるコスモヌクレオチドの異変を報じていた。異宇宙からの銀河転送が、宇宙を根底から揺るがしていたことを、アマレナは予感はしたが、関知しなかった。だが、その余波は、プシオン領域に敏感なアマレナの精神に、思わぬ影響を与えていた。急激な「技術の時代」への退行----しかも、超高度技術を備えた船で外界に出没する異常者たちは、ギャラクティカーの居住惑星を次々と破壊していった。まだ健常な大多数のアマレナは、狂える同胞----「ブリッツァー」を幽閉する道を選んだ。ドリフェル・ショック観察のため局所銀河群に出没し、ブリッツァーの船を、かつておのれの種族が学び崇めた「始祖」のものと認識、ついにアマゴルタを訪れたカンターロも援助を申し出た。
だが、ブリッツァー化はとどまるところを知らなかった。新銀河暦490年のオリンプ会談では、すべての真実が明かされるはずだった。その使節にさえ「ブリッツァー」がめざめたのだ....。悲壮な決意を秘め、アマレナはカンターロに要請した。
「ブリッツァー禍を他の銀河にまで及ぼすわけにはゆかぬ。銀河系を通過不可能な障壁で包みこめ。そして最後にブリッツァーが目撃されてから、この銀河の暦で10年が経過した後、封鎖を解除せよ。アマレナは諸君の協力に感謝する。----2度とアマゴルタを訪れてはならぬ....」アマゴルタに到りし者よ。いつの日か、君たちは平和で開放された銀河の、自由な生を取り戻すだろう。われらには、他にしてやれることがないのだ。
....アマレナの遺言は、そう結ばれている。

"ZURU"CK IN DIE MILCHSTRASSE" / 銀河系に還る
1990/12/15 r.psytoh with y.wakabayashi
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