
ペリー・ローダンは、「始祖」アマレナの悲壮な最期を知った。
悠久の昔に暗黒星回廊を造りあげた偉大な種族は、
局所銀河群の生命をおのれのあやまちから救うため、自ら滅びの道を歩んだのだ。
その遺産を、そして、その忠臣たるカンターロを利用して銀河系に君臨する
「回廊の主人たち」は、重大な機密が露顕したことを悟らざるをえない。
そしてまた、歴史の水面下でぶきみな蠢動を続けるモンスターがいる。
コスモクラートの息子〈モノス〉....

エルトルスで、シガで、またその他多くの惑星で、ヴィダーの拠点が破壊され、工作員たちが逮捕、殺害されていく。秘密連絡網〈アリネット〉は救難信号でパンク状態に陥った。本星ヘレイオスからは、隠密裏に救助作戦を遂行すべく、無数の宇宙船が離脱していく。そんななか、帰到したアマゴルタ遠征隊を迎えたのは、アンドロメダから到着したイホ・トロトと多量のプラズマを積んだフラグメント船《BOX−17411》。
ところが、トロトに同行してきたナック、ヴァロンツェムの姿を見るなり、アイシュフォンが《キューゲル》で一目散に逃走してしまった。エルマンクルク、アイシュフォン、ヴァロンツェム....ナック内部にも、派閥が存在するのだろうか?
そのころ、ロナルド・テケナーとヤルト・フルゲンは、特務船《エルマー・ヴィロン》でクライト系エルトルスに潜入していた。〈亜キサンシン・グアニン・燐化ボシル転移種〉、通称「ヒュグフォト」と呼ばれるエルトルス人の強化クローン兵団は、カンターロ第1の補助種族。壊滅寸前の現地支部の生存者と協力して、テケナーはクローン工場への神風作戦を敢行、培養施設を爆破してヒュグフォトの脅威を銀河系から一掃した。
時をわずかに遡り、カンターロの監獄惑星ニルヴァ----ダールショルが所長に任命されたここに、ひとりの囚人が運びこまれた。ペドラス・フォック、最後のドレイキスト! かれは《ナルヴェンネ》の破壊を生きのびていたのだ。かれが医療カプセルの中で、尋問に耐えられる程度まで回復したころ、ニルヴァは思わぬ訪問客を迎える。〈回廊の主人〉シメドン・ミュルホ! 厳重な防衛システムのどれひとつにさえ気どられることなく出現し、また消失した「幽霊船」----「主人」に不可能はないのだ。
「きみを〈戦略家〉に任命しよう。〈最高司令部〉に新しき血を注ぎこむのだ」〈システム〉の中枢、最高司令部の置かれるクルコドフ系第3惑星ショッチ。1000名の将軍、戦略家で構成されるカンターロ最高司令部の、近来まれに見る大会合の場で、自白剤を投与されたフォックは知るかぎりのヴィダー拠点の座標をすべて明かしてしまった! その直後、かれは独房で発生した爆発事故のため、生死不明とされた。
....1146年5月24日、最高司令部に、シメドン・ミュルホからひとつの指令が届いた。
「攻撃せよ! ヴィダーがチリひとつ残さず消え去るまで!」

「ゲジルの消息を知る存在に出会った。会合点は、ハンガイのアシュカン系コンジョンク。急ぎ来られたし。テスターレ」新銀河暦490年12月末。エルンスト・エラートは惑星アスポルクに設置したメモ装置に、二手に分かれてゲジルの行方を追うテスターレからの報告を発見した。合流期日は翌年の1月1日。間に合わないと知りつつ、エラートはコンジョンクへ飛んだ。
ところがコンジョンクは、分裂したハウリの一派イングコーム帝国の侵略をうけ混沌としたありさま。かれらの手中に落ちたエラートは、すでにテスターレがイングコーム本土へ連行されたことを知る。何者かが、かれらふたりを罠に陥れたのだ。しかも、護送される途上でハウリ艦隊が敵対するカラポン帝国艦隊の奇襲をうけ、エラートはテスターレと再会する希望さえ奪われ、猫族の虜囚となる。
だが、連行されたカラポン本星で、思いがけない噂がエラートを待っていた。
「カラポン建国の陰には1テラナーの助言があった。その名を〈ロクフォルトのシメド・ミュルフ〉。かれは〈コスモクラート・ケ=ツィルの息子〉と自称していた」ケ=ツィル! それは、「ゲジル」のカルタン風発音以外の何物でもない! さらにロクフォルトとは、数十年前、コスモクラートの命により〈ヴィールスインペリウム〉再建に従事していた〈ヴィールス探究者〉クヴィウプが出現した惑星ではないか。
ロクフォルトにゲジルの消息を見出すべく、アミモテュオ----シラグサ転落以来、半分でしかなかったが----をカラポン人に奪われながらも脱走したエラートは、さらに驚くべき事実を知る。20年ほど前に何ひとつ告げずカラポンを去ったシメド・ミュルフは、イングコーム帝国の拡大にも多大な貢献を果たしたという。ハウリがエラートやテスターレを執拗に狙ったのも、その指示のせいらしい....。
銀河系をめざしハンガイを離脱せんとしていたエラートの船を、突如海賊船が捕獲する。〈ハンガヤンサッシ〉----通称ハンガイの海賊ギルドに属する《インシュアン》のアロ・ト・モーレが、エラートに面会をもとめているというのだ。しかも、彼女はテスターレのアミモテュオを持っていた!
アミモテュオ----〈アムリンガルの年表〉の概要記憶装置。無数のクリスタル柱から成る「年表」のその頂部には、各々ひとつのアミモテュオが安置されていた。それぞれが、その冠された水晶柱の記憶する事象の概要を刻印されているのだ。クエリオン人キトマは、その特異な機能のほんの一部を利用することをエラートらに許し、ふたつのアミモテュオを与えたのだ....。
女海賊は、没落したハンガイ22種族同盟〈カンサハリーヤ〉の中枢カリフ系でテスターレに出会ったと語った。彼女は奴隷用ナック----カンサハリーヤの崩壊と共に文明が退行する以前の、いわゆる〈ブルー・ナック〉が珍重される----捕獲のために第1惑星ナンサルを訪れた。そこで、イングコーム・ハウリの捕虜テスターレから、アミモテュオを代償としてエラートとコンタクトしてほしいと依頼されたのだ----。「真珠」を分析して友の記録を解読したエラートは、ゲジルがナックの母星に囚われていることを知る! ナンサルの一都市ナッカランの〈塔〉----その地下へと伸びる螺旋階段の13段目がゲジルの牢獄への入口だというのだ。
アミモテュオを暴走、消滅させたアロ・ト・モーレの手を逃れ、荒廃しきったナンサルに降り立ったエラートは、ナッカランの塔を発見。実は「12」段目に存在した時空褶曲を踏み越えて....かれは、テスターレに、ゲジルに再会する! だが、その瞬間から、かれもまたマイクロ宇宙の囚人なのだ。

巨大な人工の月〈ヒューマニドローム〉がめぐるロクフォルトは、廃墟と頽廃の惑星だった。その住人たちは、ヒューマニドローム計画に、その富と活力のすべてを使い果たしたのだ。廃墟に巣くう「蒐集家」たちを訪ねたアンブッシュは、大ステーションにまつわる記録の数々に遭遇する。その「非人間的」構造図や、建造中に目撃されたナックの影----いまやヒューマニドロームは、数百の異宇宙知性体の、未知の研究施設と化しているらしい。
だが、最大の謎は、2通の立案書であった。1通の作成者はエンデハル・ロフ。新銀河暦800年前後の著名なエンジニアであり、公式のヒューマニドローム設計者でもある。ところが、他方のプランには、「エンデハル・ロフを設計者とする」ことまで子細に定められており----末尾にはこう記されていた。
「署名:シメノン・ミュルヘン 新銀河暦499年」さらなる謎を携えてのヘレイオスへの帰還....。イルミナ・コチストワとジェニファー・サイロンを残して----活性装置を失い、もはや老化をとどめられなくなったふたりは、この廃墟の星を最期の地に選び、もどらなかった....。
緑の小人たちの惑星シガは、今まさに滅亡の淵にあった。700年に及ぶ侵略と抵抗の歴史の果てに、ヴィダーに所属する「真正」シガ人はわずか数百名となっていた。さらに南極のクローン工場には、カンターロ戦略家ドレンショールが到着。〈ゴリアテ700〉タイプ----謎の「700周年」たる1149年に完成予定であった最新型のシガ人クローン----の実戦投入の開始は、熾烈な闘争の終わりを告げていた....シガ人の敗北を。決死の覚悟で敢行されたクローン工場潜入も失敗、最後のシガ人たちは、勝ち誇るドレンショールの手に落ちた。
銀河系ほとんどの惑星で、ヴィダー支部はシガと同様の末路をたどった。しかし、すべてが終わったわけではない。イーストサイドから救出されたブルー人たちと共に、ローダンその人がメタン大気を持つ監獄惑星マーコラへ潜入。アンドロメダからもたらされたポスビ・プラズマと〈制御通信網妨害波発信装置〉の試験投入との連動によって、投獄されていたヴィダー2000名の解放に成功した! だが、新兵器にも思わぬ欠点が存在した。例え中央プラズマの全質量を用いても、「周波微調整」をつかさどるナック数百体なしでは制御通信網に干渉できぬことがヴァロンツェムによって証明されたのだ....。
妨害波発信機の実験成功の報告を携え、ハルポラ系への急使が飛ぶ。一方で、救済作戦から生還したヴィダーたちは、またも銀河系各所へと転戦する。ポスビとハルト人の連合艦隊1万2000隻に装備するだけのパルス整流器はヴィダーには存在しない。クロノパルス・ウォールを張り巡らす管制要塞を発見、撃沈しなければならないのだ。
ロイデル・シュヴァーツの指揮する《アーチバルト》も、銀河辺境に派遣された船の一隻。そして、かれらは発見した。およそ20万と推測されるバリア管制要塞のひとつコクタシュを!
ヴィダー医学チームの手で自爆モジュール〈オルトネーター〉除去手術をうけ、抵抗運動の協力者となったカンターロ数名の知謀でコクタシュ内部への侵入に成功したシュヴァーツは、実質的「バリア管制官」であるナック3体に遭遇。かれの偶然発した「ヴァロンツェム」の名に、異宇宙生命体は驚くべき反応をしめした。〈クロノ・モニター〉と呼ばれる突出部を破壊すれば、ジェネレーターが暴走、ステーションは自壊する----。ナックの明かした秘密こそ、銀河系解放へとつづく道の第一歩なのだ!

"ZURU"CK IN DIE MILCHSTRASSE" / 銀河系に還る
1990/12/15 r.psytoh with y.wakabayashi
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