幕間 道標 / Der Wegweiser

1. 時空の放浪者たち
2. 聖堂惑星の秘密




「それで、博物館というのは?」

「ふむ、きみの想像しているような博物館というものはないのだよ。かれらは単に、かつてかれらにとって意味をもっていたものを保管しておる。かれらは----ポルライターのことだが----ここの地下にはもういない。で、地表には----まあ、それはひとまず後にしよう。探索の道で、わしはついに伝説の記録庫を発見したのだ」

「では、まったくの無駄足ではなかったのだな」と、エラートは喜んだ。

 喜ぶのは早すぎた。バルコンは、かれを落胆せずにはおらなかったのだ。

「たしかに、わしは記録をみつけた。たいていは〈力強き者〉の言語で、映像や音声記録もある。しかし、そのすべてが選ばれた者にしか理解できぬようになっておるのだ。そう、例をあげてみれば、『スープラヘトの封印者』という概念だ。わたしに何の意味がある? アッカローリーの反物質宇宙からきた半知性エネルギー雲を無害化することに成功した、惑星ヘルクレスのオールドタイマーのことかね? くわえて、だ。わが種族との関係がどこにあるというのかね?」

「たしかに考えつかないな」エラートが認める。

「さらにわしは、これもあまり親切とは言いがたい、『〈それ〉の助産婦』についての示唆をみつけた。これも曖昧糢餬としている。あの超生命体の誕生のおり、何者が援助したというのか? それからまた、『アムリンガルの年表』や『ヴィオモンの賢者たち』という示唆をどうあつかえばよいのかなど、わかりはせん。だが、これら漠然とした暗示が何であれ、それはどれも〈それ〉の〈力の球形体〉を指している。つまり、そここそがわしの次の目的地だ」

「そして、われわれの、でもある」と、テスターレ。「ともかくも、ここから出られたら、だがね」



1. 時空の放浪者たち

 アプザンタ=ゴムの奇蹟〈災いを告げる蜉蝣〉の暴走にまきこまれ、いずことも知れず姿を消したエルンスト・エラートとテスターレ。かれらの捜すのは、望みのままの肉体を与えてくれるという〈成就の地〉への案内人....。

 18年前、エデンUを出発して以来、エラートはヴィールス船《ツークフォーゲル》で宇宙を放浪していた。その旅路でかれは、400年の昔に惑星フォガで出会った謎の老人----「バルコンの男」のシュプールをつかむ。しかも、この自称「バルコン人の斥候」は、エスタルトゥの銀河アプザンタ=ゴムでかれを待っているというのだ。再会したバルコンは、バルコン人の秘密が、禁断の「ポルライターの記録庫」におさめられていると語る。そして、かれ自身の失われた記憶に〈成就の地〉の所在が秘められていることを。

 エラートは、ヴィシュナ危機以来その身にまとってきたヴィールス・ボディを失うことを知りながら、バルコンとともに禁断の転送機に踏みこんだ....。そして、肉体をなくすと同時にプシ空間の「蜉蝣」の群れに囚われ、テスターレによって救われたのだった----。

 いまエラートは、テスターレとともに、バルコンを追ってポルライターの記録庫をめざす。ふたりの肉体なきものは、ポルライターの「行動体」に宿り、転送機のアーチをくぐった....。



2. 聖堂惑星の秘密

 たどりついた惑星----地下の大技術施設のなかで、ふたりはバルコンと再会する。バルコン人の斥候は、すでにポルライターの記録庫を発見していた....しかし、その記録は、その資格をもつ者にしか理解できない。入手できた手がかりは、バルコン人とクエリオン人のあいだに何らかのつながりがあったという事実だけ。だが、〈網を歩む者〉の創設者たちは、すでにバルコンのコンタクトの試みを拒絶していた。この書庫が明かした秘密には、利用価値がない。

 バルコンは、かれを記録庫に案内してくれた者の名を語る。イェン・サリク! では、ここはクラト、〈深淵の騎士団〉の聖堂惑星なのだ!! そして、サリクと再会したエラートは、コスモクラートが下したおそるべき決断を知る。

 コスモクラートの呪い----「おまえたちは故郷の銀河群では歓迎されぬ!」----からローダンとアトランを解放するために、「最後の深淵の騎士」サリクが、生きながらケスジャン聖堂と融合するというのだ! 儀式はすでに目前にせまっていた。ハトル人テングリ・レトスの精神体の助言にしたがい、強大なプシ波動から逃れるため、エラートら3人の探求者は行先不明の転送機でクラトから脱出した。知るよしもなかったが、かれらは忘却の淵に沈んだバルコン人へといたる、正しいシュプールをたどっていた----。



"PROJEKT MEEKORAH / プロジェクト・メーコラー

1998/5/15 r.psytoh with y.wakabayashi
produced by rlmdi