
「では、おまえのことをそう呼ぼう----だれでもない、と」〈星のぞき(スターグッカー)〉が敵意もありありと答えた。かれは、ペリーが身柄を引き渡さないというので怒っているのだ。ようやく捕らえたと思ったら、ペリーは一個人として現われた。スターグッカーの鉤爪をスルリとかわしたのだ。とても利口だ。ペリーは馬鹿ではない。
ふたりは占星術について語り、ペリー=ノーバディは、つねに「天文学」という言葉を用いていた。
スターグッカーは、かれを自分の望遠鏡へと導いた。紫紺のケープのかかる胸を誇らかにそらして、一目それをのぞくことを許した。エセルフィムにも、それが許されたらいいのに!
「わしの観測している星域には、渡し守の星座の東部がある。舵の先端だ」慇懃にスターグッカーが説明する。「おまえは占星術に精通しておるようだが」
「わたしにはわたしなりの占星術がある。しかし、ベングエルのものと根本から異なるわけではない。基本的にはおなじところをめざしているのだ。すなわち、大宇宙の奇蹟の体系化を。だが、われわれは、ともに天文力学を解し、宇宙の法則を知る天文学者でもある。科学者と科学者として話そうではないか。ばかげた星占いはぬきにして。わたしはきみと、宇宙論を語りたいのだ、スターグッカー」
けれど、アストラル評議員は応じなかった。ペリーが望遠鏡をのぞくまで待ち、質問する。
「気がつかぬかな、ノーバディ。渡し守の星座に、信じがたき変革が見えないか?」
躊躇することなくペリーは答えた。
「超新星のことか? 知っているとも。何年も前から」
「うそだ!」スターグッカーは激昂した。「わしはそれを、アフ=メテムの炎の息吹を、今夜はじめて発見したのだ。重大な〈きざし〉だ。だが、われわれにとってのその意義を、おまえが理解できるとは思わん。この銀河、この宇宙、全タルカンにとっての意味を。アフ=メテムは〈火炎の領主〉。かれが渡し守の星座を呑みこまんと炎を吐いたのだ。今夜はじめて! それをおまえは、この前兆をずっと以前に発見していたと言うつもりか?」

8月初頭、銀河系に帰還したアトランは、銀河帝国に働きかけ、ワリンジャーの改良による〈ベクトル化グリゴロフ・プロジェクター〉を装備したタルカン遠征艦隊の組織を進める。だが、心強い協力者となってくれるはずのラトバー・トスタンは、新造艦のテストのためハンガイにおもむいて不在。そこで、アルコン人は、まずピンホイールにむかうことを決意する。最愛の女、イルーナと再会せんがために----。
そのころ、トファリはスパイの嫌疑をうけてハウリにも追われる身となっていた。死を目前にしたかれを救ったのは、やはりイルーナ。同盟者をよそおい、ピンホイールのハウリの計画を解明しようとしていたのだ。駆けつけたアトランとグッキーによってシュリンガルから救出されたイルーナは語る。ハウリが比較的ストレンジネスに耐性をもつこと。ハンガイ第3クォーターの転送が8月4日に予定されていながら、実現しなかったこと。そして、ハウリはピンホイール全体をタルカンへ転送しようと計画していること....。
アトランたちが銀河系へ出発した後、トファリはひとりハンガイへむかった。イルーナ解放の代償として、かれは氏族に継承されるルログ神の像をハウリ司令官に渡さねばならなかった。かれが氏族のもとへもどるためには、ルログを取りもどさねばならない....。

その記憶にもとづいて、《TS−コルドバ》はシングイソ星系に飛行。かつてクロッツの建造された星系で、かれらは「キングタイガー」----《ナルガ・プール》計画の立案者にして〈プロジェクト・メーコラー〉のプロジェクト・リーダーのひとりでもあるカルタン人マン・グロと再会する。シングイソ系は、ハンガイ第1クォーターの転移基地であり、また、後続の受信ステーションなのだ。
トスタンはマン・グロから、ハンガイ第3クォーター転移がタルカン側の理由で----宇宙間の連絡は不可能なため詳細は不明----11月30日に延期されたことを知った。キングタイガーはさらに、メーコラーからタルカンへ移行したものは、すべて特定の宙域、すなわち、ハイパー送信局のあるアンクラム系近傍に出現するであろうと告げる。ただの推測。しかし、これこそ、ペリー・ローダンにいたる最初のシュプール!

パラタウの効力喪失を知ったカルタン伝承者たちはパニックに陥る。もっとも有能なエスパーである伝承者たちは、喪失感にとらわれ、《ナルガ・サント》ごと恒星クトゥルに突入して自殺せんとはかった。ダオ・リンとオーグ・アト・タルカンはかろうじて巨艦をコントロール下に置く。17名の伝承者は搭載艇で恒星に墜落し、自害をとげるが、カルタン人の真の歴史の証拠《ナルガ・サント》は守られた。カルタン人は真実を知るべきなのだ。
ニッキー・フリッケルは、やはりハウリを追っていたグッキーやアンソン・アーガイリスと合流。ヘクサメロンの預言者の一拠点に進入し、ひとりのハウリを捕らえた。真紅のローブを身にまとい、〈火炎の領主〉アフ=メテムの命をうけ指揮をとっていたこのハウリから、貴重な情報がえられた。....ハンガイ転移によるタルカンの質量の減少、すなわち完成のプロセスの減速は、ヘクサメロンにとり容認できない。〈時間終点計画〉とは、タルカンの質量の損失をメーコラーの星々でおぎなうこと! ヴィラメシュやアプザンタの恒星消失は実験にすぎなかった。次の標的は、イルーナの報告にもあるとおり、ピンホイール。ハウリがハイパートロプをもとめるのも、一銀河をまるごとタルカンへ転送するだけのエネルギーを確保するためだったのだ。そして、恐怖のマシーン〈物質シーソー〉は、ハンガイ転送に呼応して発動する。すなわち、11月30日がピンホイール最期の日なのだ!!

アトランの《カルミナ》、《TS−コルドバ》とそれに格納されたサラーム・シーンの《ハーモニー》、さらに10隻のソラー級艦からなる小艦隊は、すべてがワリンジャーの新型グリゴロフ・プロジェクターを搭載していた。「宇宙間航行用」の新型エンジンを! そのテストはまだ完了してはいない。往路は、艦隊を包むヴィールス雲〈ヴィラ〉の力で突破する。アトランは、復路をぶっつけ本番で敢行するつもりだった。遠征隊は、両宇宙の間の障壁がもっとも薄いハンガイにむかう。
マン・グロは、情報・物資の両面にわたって、援助をおしまなかった。さらに、捕虜のハウリが自害する前に歌った「ヘクサメロンの書の歌」を、オファルの名歌手サラーム・シーンとカルタン人専門家が分析した結果、歌に隠された思いもよらぬメッセージが解読される....。
「主なるヘプタメルよ、〈永遠の穴〉のほとりでご覧あれ」やがて、マン・グロに別れを告げた一行は、第2クォーター内のストレンジネス障壁に接近する。〈ヴィラ〉が宇宙を隔てる壁に穴をうがち、突入する。まもなく、スクリーンに赤い背景輻射をはなつ宇宙空間が映し出された----。ヴィールス雲はもはやない。12隻の小艦隊をストレンジネス・ショックから守るために、質量をすりへらし、使い果たしたのだ。かくして、かれらは、滅びゆく異宇宙タルカンに到着した。
人々の心を不安にさせるのは、〈永遠の穴〉のほとりにいるというヘプタメルの存在、そして〈それ〉の、
「わが使者が諸君とともにある」という言葉だった。人類の導師が、タルカンでの事件に関心をしめすようになったのは、なぜ?

「われわれは〈イマーゴ〉を探している」修復のすんだ送信機テストを予定していたレン・ノは、いまや絶大な信頼を寄せるテラナーに依頼し、ロボットと賎民の船を星系から退去させようとする。ところが、船団の代表者2名が、ローダンと新しいベンノ防宙司令官ケルトゥールの前に現われた時、テュヨンとおなじ出来事がくりかえされた。〈対自殺〉----魂を失ったロボットと蛮人。ローダンは悟った。〈イマーゴ〉とは、かれのことなのだ! ローダンは、より悲劇的な事態をひきおこす前に、レン・ノにすら告げずアンクラムを脱出する。
ただひとりローダンに同行したベオズは新たな夢を見る。ヴァイラハ・ゴムという惑星がグラニュカルの軍団に滅ぼされる歴史。グラニュカル----アプザンタ=ゴムの〈永遠の戦士〉ではないか! おりしも《レダ》は、ハンガイ外縁部にメーコラー・ストレンジネスをおびた星団を探知。そのひとつは、4月2日にアプザンタ=ゴムから消失した球状星団ドゥグ・チニ。そこにはヴァイラハ・ゴムがある....。着陸したローダンは、ベオズの夢の示唆どおりゴリム・ステーションを発見。何も得るものはないと思い、立ち去りかけたその時----。
「まだ行ってはなりません! 前へ進みなさい。それとも、何もみつけないまま戻りたいのですか?」姿なき声に導かれ、ステーションの奥に踏みいったかれは、壁に刻まれたマークをみつけた。エスタルトゥの〈第三の道〉のシンボル! しかも、それはベオズの夢とおなじころ、わずか4日前に刻印されたもの。何者かが、かれをここへ招きよせたのだ。

ローダンはプロジェクト機構〈シュオ=ゴン=ヴェン〉の評議員、カルタン人ギル・ゴルの胸に〈第三の道〉のシンボルを見る。
「これは〈輝ける知識のセンター〉のシンボルである」それがギル・ゴルの答えだった。その名をローダンは、アンクラムでも耳にしていた。カンサハリーヤの知恵袋。過去の科学技術者の知識を超空間に集積した、と噂される。それが、プロジェクト・メーコラーのすべてを決するのだ。ローダンはすでにレン・ノが自分の任務----アンクラム計画----以外には何ひとつ知らされていないことに気づいていた。〈プロジェクト機構〉の評議員たるギル・ゴルにしてもおなじこと。かれらは、自分を導く〈輝ける知識のセンター〉の真の所在すら知らない。
カルタン人の母星、第2惑星ヴィナウに移送されたローダンは、ギル・ゴルの補佐官ミ・アウワの監察下に置かれる。エスタルトゥの話を聞かされた、聡明なカルタン女性は、こう結論する。
「エタスルトゥが実在したとして、彼女がヘクサメロンに敗北してしまったなら、いまカンサハリーヤが存続しているはずがないわ」やがてローダンは、プロジェクト・メーコラーの本部がある第3惑星ヤリプにまでヘクサメロンの手がのびていたことを知る。カルタン語で〈短い六日〉の名をもつハウリのテロ組織が、ヤリプで働くジュアタフの一部のプログラムを改変し、「イマーゴ」誘拐をはかったのだ。危機一髪、難を逃れるローダン。だが、ハウリの真の目的は、この混乱に乗じてすべてのゴン=ヴェン評議員を暗殺すること!
最悪の事態は、みずからの命を投げ出したミ・アウワの機転で回避され、〈プロジェクト機構〉の内通者も排除された。しかし、テロ組織が壊滅したわけではない。ベオズの夢は、破局を予言する....。

一方、ローダンはヤリプにおいて、あの伝説探究者〈名なし〉と再会していた。奇妙な権限を有する謎の人物とともに、ギル・ゴルの案内で〈プロジェクト機構〉の中枢に足を踏みいれたとき、〈輝ける知識のセンター〉の指令が届く。〈名なし〉の口を借りて!
「かれらは大勢、とても大勢----しかしかれらは孤独、はてしなく孤独----〈満の時〉まで」そのすべては、アンクラム計画とは何の関係もない。〈輝ける知識のセンター〉は正気を失ってしまったのか?「ナックを偽りの預言者から救いなさい。無害な〈かけら〉が破滅のハンマーと化すのを防ぐのです!」
同胞と過ごしていたはずのベオズが姿を消した。誘拐者のシュプールを追うローダンは、そこにナックの影を見る。そして、〈センター〉の予言もナックにからむもの。かれはナックのゴン=ヴェン評議員、ダルフロルとともにナックの母星、第1惑星ナンサルに急行した。
〈輝ける知識のセンター〉がいう「かけら」とは、カンサハリーヤの22種族に「永遠のかけら」と呼ばれるナンサルの月アナンサルのことにちがいない。それはマイクロ・ブラックホール。幼いナックはそのプシ放射によって超感覚を呼びさまされ、さらに〈永遠の穴〉のより強力なプシオン波動をうけてプロジェクトに貢献する能力を得るのだ。ローダンを驚かせたのは、ナックの「乳母」として働くロボット----ジュアタフではないか!
ハン=シュイ=クヴォンのシュプールを追って、ローダンたちは伝説の〈ナックの墓場〉に達する。ナックの墓場----そこは、古代、超感覚を持てなかったナックが、生きながら埋められた場所。現在封鎖地区である「墓所」は、ハウリとヘクサメロンの哲学を信ずる「盲目の」ナックたちの集会場となっている。ハン=シュイ=クヴォンのハウリたちは、そこから遠隔操作でアナンサルを破壊し、カリフ星系を滅ぼさんと画策しているのだ。ローダンとダルトフルの介入は、あやういところで計画を阻止し、夢見る力を利用されていたベオズも無事救出された。そして、ローダンはベオズとともに、逃走したハウリ司令官ナルモン・アルト・ティールの後を追った。

ウシャルー第15惑星エペルムは、ヘクサメロンの徴兵に応じたハンガイ種族たちでごったがえしていた。その喧騒は、ドリフェル・カプセルの星系侵入もかくしてくれる。
エペルムで徴兵に応募するふりをして情報を収集するローダンとベオズは、老カルタン人ナイ・レンの知己を得る。ふたりとおなじく、〈最後の六日間〉の信奉者をよそおうカルタン人は、ヘクサメロンの徴兵がごく最近開始されたこと、第5惑星ケオバドで8月4日にむけて何か大きな作戦が進められていることを教えた。8月4日----それは、ハンガイ第3クォーターの転送日。さらにナイ・レンの情報を吟味したテラナーは、ケオバドの異変が1月31日と4月2日にも生じていたことを知り、〈物質シーソー〉の存在を確信した! ハウリの次の目標はピンホイール。転送をとめなければ----ローダンは《レダ》をアンクラム系のレン・ノのもとへ派遣する。さらに、ケオバド侵入の援護として、アンクラムとカリフの両星系に集結しつつあるイマーゴ探求者をウシャルー系に呼びよせるという任務もくわえて。
身元をいつわり、技術者として徴兵試験に合格した3人に、真紅の服のハウリが襲いかかる。かれは〈水を運ぶ者〉と呼ばれる殺人マシーン。絶大な権限を有するハウリのエリート中のエリート。間一髪ローダンを救い、ハウリの母星へと通じる転送機「タルールへの門」に導いた謎のハウリは、シャルンと名乗った。かれは、シャー----ローダンを襲った〈水を運ぶ者〉の兄だというのだ!

シャルンとシャーの兄弟は、〈司祭の山〉のひとつジアークを卒業した。だが、ハウリにとっては麻薬、毒である水を吸入して不可能を可能にする超エリート「真紅のハウリ」になった弟とは逆に、シャルンは学べば学ぶほどヘクサメロンの教えを信ずることができなくなっていた。そして、回答を、メーコラーから来た異人ローダンにもとめたのだ。〈最後の六日間〉の哲学は、実は形を変えた破滅ではないのか。
タルールのもうひとつの顔、超近代技術の結晶〈テクノ・ゾーン〉での逃避行がつづく----。やがてシャーも、ローダンを援助するのが兄シャルンであることに気づく。ベオズとナイ・レンも合流したローダン一行は、シャルンとシャーの故郷である砂漠に逃げこむ。そして----ジアークの山腹で決着はついた。シャーは水の過剰摂取により死をむかえ、シャルンはおのれの種族の謎を解くことを夢見て故郷にとどまることを決意する。ハウリの兄弟に別れを告げたローダンたち3名は、到着したジュアタフとベングエルの、4000隻の大船団の援護のもと、タルールからの脱出に成功した。「イマーゴ、イマーゴ」----その歓呼のなかで。

「火炎の領主アフ=メテム」----意識を取りもどしたローダンの心に浮かんだ、最初の言葉。ベオズやナイ・レンに確認して、かれらが「アフ=メテムとその随行」を演じるのに必要な知識を、どこからか得ていることがわかった。《レダ》は、《パーリンネン》破壊の際、強力なプシ波が放射されるのを探知したという。
やがて、ケオバドのハウリたちもおなじ力の影響下にあることが判明する。かれらはローダンを「アフ=メテム」として迎えいれたのだ! ケオバド唯一の都市ゾンカートに入った「アフ=メテム一行」は、〈物質シーソー〉センターを「査察」する。だが、かれらは〈火炎の領主〉が真実なにものなのかを知らないままなのだ....。
ハウリ司令官との会話から、ローダンはアフ=メテムがヘクサメロンを構成する6者の一員と知る。そして、その本拠がハウリ語で〈永遠の穴〉と呼ばれていることを。ナコド・アズ・クォールと通信するふりをして、テラナーはプシ撹乱波に覆われるという神秘の地の座標の一部を手に入れた。だが、まさかそこから正体が露呈しようとは。本物のアフ=メテムが、〈永遠の穴〉から確認をもとめてきたのだ! マイクロ爆弾でセンターを破壊し、ローダンはケオバドから逃走する。ナコド・アズ・クォールの名を胸に刻みこんで----。

奇襲によってステーションを制圧したアトランたちは、そこで思わぬ再会をする。ハウリによってタルカンへ連行されていたトファリ・ロコシャンと氏族継承神ルログ! だが、かれらはメーコラーでのハンガイ突入、さらにタルカンへの移送と短期間に2度もの強度ストレンジネス・ショックをうけ、記憶の大半を失っていた....。イルミナ・コチストワはハウリのストレンジネス免疫性が、かれらの帯びる正体不明のオーラに起因することをつきとめた。
ハウリの罠に落ちていたカルタン人ヴィル・コンを解放したフェルマー・ロイドは、このヴィル・コンがプシのオーラに包まれて〈輝ける知識のセンター〉の言葉を伝達するのを確認する。使者は告げる。
「ウシャルー系第22惑星パガルで未来を決しなさい。同時に、第59惑星ツェレンガーにかくされた過去の謎も忘れてはなりません----」そして、尋問によってハウリから得た情報は、惑星パガルに〈物質シーソー〉の本体があることを明らかにした!

サラーム・シーンは「放浪の歌手」を自称し、歌声に秘めたヒュプノ能力によって、パガルの月ジェゼツの基地に入場をはたす。メーコラーからきたカルタン人のリーダー、生まれながらのエスパーのゲー・リャン・ピュオは、ジェゼツ司令官の補佐が〈最後の六日間〉を信奉するカルタン人であることを知る。サラーム・シーンは歌で呪縛した補佐官から、〈物質シーソー〉の情報を入手。ところが、いざ脱出の段階になって、サラーム・シーンの能力と正体が看破されてしまう。
サラーム・シーンは、〈物質シーソー〉のデータを楽譜としてプシ・シンセサイザーに記録し、みごとハウリをだしぬいた。だが、虜となったかれらと《ハーモニー》は、ロボット艦隊に護送されて星系外縁へと連行される。本隊----すでにパガルに潜入したはずのアトランたちに伝えられなければ、せっかくのデータも意味がないのだ....。

「〈勝利の証〉の監視者より、使者ヘクストン・メルへ。禁断の世界で何を望む? なぜ訪れたのか?」〈勝利の証〉----それはツェレンガー北極の、直径およそ2000キロもある大クレーターのことか? トスタンは、制御から脱落したロボットたちの修復と新規プログラミングのため、と答える。着陸後、まだ稼働するロボットたちのプログラムを変更して無害化した元USOスペシャリストは、立入りを禁じられたステーションにジュリアン・ティフラーとともに踏みこんだ。
北極の大孔は、5万5000年もの昔に、〈二十の領地〉の主たるヘプタメルが大敵を打ち破った〈勝利の証〉だという。ロボット脳を麻痺させてトスタンとティフラーは莫大なエネルギーがうがったクレーターへと足を踏み出した。その瞬間、ティフラーの携行する細胞活性装置が異常な反応をしめした! 放射されるプシ波にティフは失神し、〈勝利の証〉から運び出されるまで回復しなかった。
トスタンは確信していた。ヘプタメルの敵とは、「〈それ〉の妹」エスタルトゥに他ならない!
....トスタンはエスタルトゥの死を信じなかった。敗北すなわち死、ではない。さもなければ、なぜヘクサメロンは〈勝利の証〉を封鎖したのか。まもなく探知された艦隊....それは、サラーム・シーンを護送するロボット船。幽閉の場所とは、ハウリすら寄せつけぬツェレンガーであったのだ。〈勝利の証〉の監視者をよそおって護送艦隊をむかえいれたトスタンは、ハウリの禁忌を利用してオファル人を解放することに成功する。そして、名歌手のもたらした〈物質シーソー〉のデータを携え、アトランを側面から援護するべくふたたびパガルをめざした。

やがて到着したトスタンの支援部隊は、オファル人が獲得した〈物質シーソー〉の座標をもたらした。ステーションに突入した一行は、ハウリとの戦いのなか、メンバー2名の犠牲によって中枢部への血路を開く。さらに、アトランが気づいたとき、オクリルを連れたオクストーン人チャトマンと、いまだ完全に記憶の回復していないトファリの姿も見えなくなっていた。わずかな生存者もハウリのロボット軍団に包囲された。計画どおりティフラーに転送回廊の設置を要請しようとしたアトランのミニカムに、突如として見知らぬ男の顔が映し出された。それは、〈火炎の領主〉アフ=メテム!
「あきらめろ、わたしには生きたままのおまえが必要なのだ。降伏すればナコド・アズ・クォールのほとりで、イマーゴ、ローダンと再会させてやろう」マイクロ転送機で仲間たちを脱出させ、アトラン自身はラス・ツバイとともにテレポートで逃走する。そして、その瞬間、アルコン人は設置したマイクロ爆弾を点火した。11月30日、まさにハンガイ第3クォーター転移の直前に、パガルの〈物質シーソー〉は破壊された。行方を失った転送エネルギーは、惑星パガルそのものをさえ揺るがすハイパー嵐をひきおこした。〈物質シーソー〉はもはやない。
駆けつけたハウリ艦隊の手を逃れて、各個ウシャルー星系を離脱していくタルカン遠征艦隊。虚空の会合点に再集結した後、かれらはナコド・アズ・クォールを次の目標に定めるだろう。そこには、アフ=メテムと、そして、ペリー・ローダンの手がかりが待っているのだ。

「イマーゴって、前にもでてきたっけ?」
「〈大群〉の運転手シュミットとノストラダムスの別称」
「〈偶像〉つーと、ちょいとちがうなぁ、〈理想像〉? 〈模範生〉? 〈アイドル〉? ま、みたいなもん」
「ローダンも、困っているらしい」
「おめでとうございます! 今日からあなたはボクたちのアイドルです」
「いきなり、おっかけてしまう」
「ごーごー」
「....そして、本筋とは無関係に、いま明かされるバルコン人の正体」
「バルコンの男....旧暦3586年、天才少年ゴルスティ・アシュドンと時をかける青年だかなんなんだかエラートが、〈それ〉のはなったコンセプトのひとりとして、銀河系辺境の無人惑星の転送ステーションで出会った老人」
「名前を聞いてもわからない」
「おうちを聞いてもわからない」
「でも、ばかにすんな〜おれはな〜〈バルコン人の斥候〉なんだぞぉ、と言いはるんだよね、このヒト」
「そこで、すかさずエラート----惑星バルコンはとっくの昔に自爆したよ〜ん、という」
「老人、がーん」
「仲間を探さなくては、とおおあわてで〈時の泉〉をつかって去る」
「〈時の泉〉----〈力強き者〉が〈大群〉を監視するために使っていた移動手段。井戸みたいな穴があって、のぞくと、むこうの景色が見える。で、ぽーんと飛びこむ、とゆーやつ」
「ところでさ」
「ん?」
「なぜ転送ステーションを使わないの?」
「....!」


"PROJEKT MEEKORAH / プロジェクト・メーコラー
1998/5/15 r.psytoh with y.wakabayashi
produced by 