Lonely Girl from North Counry 2nd

エピローグ....




 二四〇六年三月二八日。

 海沿いのハイウエイ、そのパーキングにとめた車のかたわら。春の陽差しを浴びているふたりの女性と一匹の牛、もとい犬。

 ドライブにくりだした、見た目は仲良し同士のナナオとケイ。

 妙に意気投合してしまったらしく、ケイの銀河ツアーの終わったあとも、ナナオはケイと同居している。いや居候とでもいうべきか。

「四ヶ月だやねえ....」

「....そうね」

「ツアー、観れなかったから、悔しがってんだろうな」

「大丈夫、ビデオ録ってある」

「....さすがね」

「でも、見るの大変よ」

「てことは、全部?」

「選べなくって....」

「....。どーせ暇だから、見るんじゃない」

 何気ないやりとりのようだが、ナナオはタマニウム攻略、《L.G.F.N.C》の喪失という事実を知っている。

 ケイも、公式発表を通じてアンドロメダ派遣艦隊が帰還しつつあることを知っている。

 銀河系にも平穏が戻りはじめていた。

 空は碧く、風は穏やか。

 しかし、空気は少しだけ重かった。

「明日だねぇ....」

「....うん」

「まにあうつもりだったらしいんだけどね」

「うん....。でも、もうプレゼント貰っちゃったから」

「....あ、リバー」

 呼ばれたかのように、犬が小さく吠えた。

 と、一瞬、青空が光った。

「なに....?」

 片手をかざして、ケイがつぶやいた。

 直後、耳をつんざく轟音とともに、嵐のような暴風があたりを吹き荒れた。とっさにケイをかばうナナオ。目の前で海から大きなうねりが次々と押しよせ、飛沫が彼女たちにまで届く。

 突然の暴風は数分ではじまった時と同じように突然に終わった。

 そして、なにごともなかったかのように、変わらない青空と風。

 空を見上げたナナオが、ふと笑みをうかべてケイを肘でつついた。

 不思議な表情のケイ。青空を見つめる。

 彼方の空には、細長い船が浮いていた。

 舷側にはかろうじて読める文字群。

「まにあうように、あわててすっ飛んできたってわけだ」

 ケイは何もこたえなかった。

 どうやら、近所迷惑なバカが還ってきたらしい。

 髪をかるく撥ねあげると、青空に両手をひろげて大きく背伸びする。

 そして、天高く右の腕をさしのばすと、指でLの字をつくり、まっすぐに雲の彼方に狙いをつけて片目をつむる。口許に涼しげな笑みをうかべて。

 空は碧く、陽差しは暖かく、風は穏やか。そして空気も軽かった。



---- fin.




"Lonely Girl from North Counry 2nd"

(c) 1995/6/15 yuki sano with y.wakabayashi
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