どこかよその銀河で
わたしの歌が流れてるの
近所迷惑だよねぇ
わたしの歌うるさいし----

時代祭ケイのアルバム「Go! go! everybody」がリリースされる。同一タイトルの新曲をいれた十一曲。できたてほやほやのメモリチップとともにあらわれた彼女はじつにはつらつとしていたけれど、時折、遠くをみるような瞳をしてみたり、やっぱりしっかり時代祭ケイなのだった(なんなんだか)。
ケイ(以下K)▼あーっ、前のもそういわれたような気がするぅ(笑)。やっぱり、そうかなあ。そうなっちゃうんですよね、わたしの場合。
----でも、どんどん磨きがかかってくるところは本当。なんかかなしいことやうれしいことをいっぱい体験してきてるなっていう。
K▼ひょっとして、検閲とか気にしてます? あのこととかあのこととか(笑)。まあ、いいや。今日はおとなしくしときます。
----ありがとうございます(笑)。で、アルバムの話だけど。
K▼なんかね、だれでも、そのまんま言葉にできないものが心のなかいっぱいありますよね。楽しいとか、苦しいとかじゃなくて、うれしいとか悲しいとかじゃなくて、なんだかわからないことが、なんだかいちばん悔しいもの。わたしが歌ってきたものって、ぜんぶ、そういう気持ちがエネルギー。たぶん。うん。だからこんどもおんなじ「このやろおっ」。でも、そんなに磨きがかかったかなあ。
----最後の新曲「Go! go! everybody」なんてすごい怒った曲ですよね。
K▼この曲ね、いきなり「いっちゃえいっちゃえもう帰ってくるな」っていうノリでしょう。でもね、こうでもしないと気持ちが納得しなくって、こうでも言わないと許せないくらいのかなしいお別れって、ある。そういうのがとりあえず三十パーセントくらい表現できたかな、と思ってる。
----ふーん、残りの七十パーセントはこれから?
K▼そうですね……まかりまちがって帰ってきちゃったときに、ぶつけるためにとってある(笑)。どっちかっていうと、なにかあると泣くよりさきに怒っちゃうひとだから。ちっちゃいころ飼ってたマンモスっていうでっかい犬が死んだときも、一週間くらいごはんも食べられないくらい怒ってました。リバーがいなくなったら、またおんなじくらい怒ってるんだろうな。
----リバーって、犬?
K▼ともだちにもらったの。でっかあい牛。
----牛?
K▼ん、いちおう犬なんだけどねー。これがほんとに牛みたいにでっかいの。またよく食べるんですよお。わたしの十倍以上。稼いでもかせいでもみんなリバーに食べられちゃう。でも、養ってかなきゃいけない家族がいると、ふんばりがちがいますよね。
----ことしも一年がんばるぞ、という……ことしの目標みたいなものがあったら教えてもらえますか。
K▼そういうの、にがてなんですよね。立ててない(笑)。なんかすごく斬新な初夢はみたんですけど。
----どんなの?
K▼アンドロメダなのかな、どこかよその銀河でわたしの歌が流れてるの。どっかのバカがガンガン流してる。ハイパー通信て、これがまたとおりがいいんだなあ。近所迷惑だよねぇ、わたしの歌うるさいし(笑)。でね、さがすんだけど、みつからなくて。みつからなくて、みつからなくて、なんか悔しくて悲しくなって、このやろおっ、って怒ってね、それで目がさめるの。
----新年そうそう「このやろおっ」?
K▼しかもアンドロメダでね。近所迷惑なバカはちょっとこまるけどー。でも、いっしょうけんめい生きてる知性体のみなさまに、ちょっと元気をわけてあげられればうれしいな。
----で、全宇宙になりひびいた初夢にはじまった今年の活動は?
K▼とにかく歌う。歌って歌って歌いまくる。それから、ちょっとお休みして、夏にはたぶん新曲ができるんじゃないかな。まだまだ「このやろおっ」におつきあいいただかないとっ。どもども(笑)。

Kei Jidaimatsuri● 2383年3月29日生まれ。ハイグレード出身。2400年3月1日「NEVER MIND!」でデビュー。パワフルな歌声と天性の表現力を武器に、反体制的なロック・ナンバーを中心にこなしつづけて現在にいたる。昨年、とうとう政治的なゴタゴタにまきこまれたとか、不穏なうわさはたえないものの、活動は快調。この春にはアルバム「Go! go! everybody」をリリースする。
"Lonely Girl from North Counry 2nd"
(c) 1995/6/15 yuki sano with y.wakabayashi
produced by 